ここはテレビシリーズ全39話を振り返ってみようという大変無謀なコーナーです。
先は長いですがよろしくおつき合い下さいませ。

各話数はパイオニア LDC(現「ジェネオン エンタテインメント(株)」より発売された
宇宙戦士バルディオスDVDーBOXに準じています。

当時の資料を基にしていますがここに書かれていることが必ずしも事実とは限りません。
読み物だと思って流し読みしていただければ幸いです。
また間違いがありましたらご指摘いただけると嬉しいです。

第5話〜第9話 第10〜第11話 第12〜14話 第15話〜第18話 第19話〜第21話
第22話〜25話 第26話〜28話 第29〜31話 第32話〜第34話

第1話「孤独の追跡者」 
酒井あきよし脚本 広川和之コンテ 広川和之演出 1980年6月30日放送

銀河系中心より3万3千光年離れた惑星Sー1。
だが放射能汚染のため星としての命は終わろうとしていた。
Sー1星を捨て新しい星への移住を主張するガットラー率いる軍部アルデバロンは、
片腕アフロディアの指揮でクーデターを決行。
皇帝と反対勢力で放射能除去の研究を進めるレイガン博士を殺害、総統の座に着いた。
アフロディアは功績を認められ最高指令の地位を与えられるが、心中は穏やかではなかった。
彼女の最愛の弟ミランは父をかばおうとしたレイガンの息子、マリンの手によって還らぬ人になってしまったからだ。
ガットラーを追って宇宙に出るマリン。
しかしアルデバロンのワープによって引き起こされた次元嵐に巻き込まれ、
西暦2100年の太陽系にたどり着いてしまう・・・
いきなりですがマリンは「レーガン」なのか「レイガン」なのか・・・・・気になりませんか??
1話のテロップでは「マリン・レイガン」とあるでしょ。お父さんは「レイガン」博士だし。
ざっと調べると「レイガン」と記されているのは酒井あきよしさん(原作者)の小説、若桜木虔さんの小説、近代映画社のジ・アニメ増刊号、サンケイ出版のフィルムコミックス、DVDの解説です。
一方「レーガン」派は葦プロダクション発行の豪華本、徳間書店ロマンアルバム、北見徹さんの小説かなあ・・・
当時のアニメ雑誌は半々ですね。(そもそもフルネームで出て来る事が少ない。)
バルファンのバイブルとも言える豪華本が「レーガン」だからなあ。
やっぱ「レーガン」か??でも原作は「レイガン」だしなー。

ここらあたりのことを81年の映画化のイベントで
マリン役を演じられた塩沢兼人さんがちょっとコメントされてるんですね。
で、どーにも初期設定では「レイガン」だったのがなんとなく(言いやすいように?)
「レーガン」に統一されていったようなんですね。なーる。
(ご本人も「レーガン」のつもりで演じられたそうです。)

さて、そんなマリンのネーミングは広川和之さん(テレビ版監督)
アフロディアは酒井あきよしさんです。
これも初期設定では「アーサー・ハヤト」「ベルバラン」というちょっといかした名前だったんですが、
自然の象徴、美の象徴(ギリシャ神話のアフロディーテね)
というテーマに添って練り直したのが現行だそうです。

さて前置きが長くなりましたが本編について。
クーデターを計画し、指揮実行したアフロディアは
後におばかな発言を繰り返すとは思えないほどの切れ者ぶり。
無表情で皇帝殺しちゃうんだモンなー、コイツ。
人の命なんて何とも思ってないな。
方やマリンはロボット兵に軽口を叩いたり、初対面のアフロディアを美人だと評してみたりの
結構なおぼっちゃまぶり。(笑)
後の悲劇を思わせるようなモノはどこにもありませんね。
まだまだアフロディアはガットラーの腕の中。
彼に忠誠を誓う下りが妙になまめかしくも見えてしまいます。
パルサバーンは元々は「来るべき未来に対して(ガットラーなどの力に対して)」造られたのだそうです。
マリンもお父さんの遺言で結果的にはSー1星を捨ててしまうわけですが・・・
一体レイガン博士はマリンに何をさせたかったのでしょう。
たった一隻の宇宙船で何が出来るというのでしょうか。
「ガットラーを許すな。」とは言ったけれどそれは
「銃を取って戦え。」ということでは無かったような気がするのですが・・・はて・・・・

*************

第2話「パルサバーンの秘密」 
鳥海尽三脚本 広川和之コンテ 二階堂主水演出 1980年7月7日放送

月に不時着したマリンは地球の防衛機関ブルーフィクサーによって、捕虜として尋問を受けていた。
アルデバロンも次元嵐に巻き込まれ目的の星を見失い、地球に侵略の魔の手を伸ばしていたからだった。
ブルーフィクサーの長官、月影を始め、クインシュタイン博士、雷太、オリバーと誰もがマリンの主張を信じなかった。
孤立無援のマリンのただ一つの慰め・・・・
それは初めて目にする地球の美しい自然だった。                              
さて2話。
開戦前の緊張感がひしひしと伝わる脚本・・・
に対して絵がちょっと・・・という感想を持たれた方も多いのではないでしょうか。
まあ、昔のテレビアニメですしね。
作画班も国外のスタッフが半数を占めていた(時もあったそうだ)バルなので、
その辺はしょうがないのかもしれないですね。
(そしてこのキツサは3話でバクハツしてしまうのだー!!)
ところでみなさん。
ブルー・フィクサ・ーシークレット(以下BFS)設立のゆえんはご存じですか??
実はバルの世界では地球は1999年に異種生命体の攻撃を受けてるんです。
(おいおい、一昨年のことだよー。)
ま、幸いにもこの戦いは大事には至らなかったわけですが、
これをきっかけとして世界連盟が誕生し、2091年にはBFSが設立されたんだそーです。
(この設定は本編には出てきません。)
BFSは元々は環境汚染の調査と管理を目的とした機関だったのですが、
バルディオスの開発などにより戦力が世界連盟を越えてしまったんですね。
シリーズを通して連盟とBFSが対立する構図がたびたび出てきますが、
実はこの設定を生かしての事だったりするのです。
(ホントかよ?)

甘ちゃんで夢想家の月影もこの回では珍しく司令官らしい印象です。
地球の存亡がかかってるんですからね。
ちょっとくらいはしっかりしてもらいたい。(笑)
クインシュタイン博士とやり合うシーンなんかもこの回であったりします。
まあ、いかに月影が張り切ったところで博士にはかないっこない、ちゅー所か??
博士はこの時すでに先の先を見通していたのでしょう。
恐ろしいほど冷静な判断力・・・

パルサバーンで同胞の乗る透明円盤を次々に倒してゆくマリン。
その心中はいかほどだったんでしょうね。
結局マリンはここで「越えてはならぬ一線」を越えてしまった訳ですね。
何もかも報われない未来が待っているとも知らずに・・・・

・・・・暗くなっちゃったんでプチ情報を一つ。
1話の皇帝を中心とした会議の中でレイガン博士の隣でじっと話を聞いていた(かに見える)
爆発ヘアーのおじちゃんが、この2話でも登場しています。
彼はガットラーについたんですねー。
(レイガン博士は人望がないんか?)
その後も15話「偽りの平和会議」にもちゃっかり登場!
チェックしてみて下さいねー。

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第3話「スパイの烙印」 
筒井ともみ脚本 四辻たかをコンテ 宮崎一哉演出 1980年7月14日放送

亜空間内に要塞を構え圧倒的な科学力を持つアルデバロンの攻撃に対して、
BFS誇る2大メカキャタレンジャー、バルディプライズもまるで歯が立たなかった。
誰もがマリンに冷たくあたった。
しかし、ただ一人ジェミーだけはマリンを信じ始めていた。
青い空と海に涙するマリンがスパイだとは思えなかったのだ。
勝利の女神はアルデバロンに微笑むかに見えた。
地球を救う鍵はただ一つ。
それは、クインシュタインが密かに開発を進める新兵器だった。
4話へのアプローチに徹した内容ですね。
「あれ?バルディオスはまだ出てこないの?」
しびれを切らした全国のお子ちゃま方がおもわず裏番組「ルパン3世」(後に明日のジョー)に
チャンネルを合わせちゃうんじゃないかと不安・・・
全国の僕達ー!!
バルディオスは次で出てくるからね!

2話であれだけ対立していたのに
月影ったらクインシュタインにコーヒーなんて入れちゃってなんだか良いムード・・・
博士はこの事がよっぽど嬉しかったのか、後に土星での決戦の前夜に
「あの日のコーヒーの旨さは忘れられない。」
と回想するシーンが出てきます。
(ただしこのエピソードは酒井さんの小説のみ。どのみち未制作分だし。)
クインシュタインと言えば29話「地球氷河期作戦」のデビットとのお話が印象的ですが、
どうやら博士の心は月影の方に向いていたみたいですね。
34話「地球の長い午後」でも死にゆく月影になにやら意味深な事を言ってるし。
あんな妻子持ちのどこがいいんだ?
という気もしますがああいったキツメの女は、月影みたいな甘ちゃんに心惹かれてしまうのかも。

そしてバルディオスには甘ちゃんに惚れる女がもう一人!!
それはアフロディアだーーーーーー!!
まだまだ切れ者の軍人、といった風情のアフロ様。
マリンへの憎しみよりも全軍を率いる責任の方が強い、といった印象です。
二人の関係はよく「愛憎劇」といった言葉で表現されますがマリンを敵として、
男として意識すればする程憎しみも又深まっていったのでしょう。
マリンにとって憎悪の対象はあくまでもガットラーであり、
父を殺した組織全体に向けたモノであるはずです。
たとえ司令官であろうともマリンにとってのアフロディアとは初対面の美しい印象の残る一個人であり
弟を殺してしまった負い目もある。
アフロディアを憎みきれないマリン。
アフロディアはそんなマリンに優しく(?)されればされる程憎しみも倍増していったのでしょう。
そしてそんなにも自分を憎悪するアフロディアを次第に意識していくマリン・・・

なんていうんですかね。
どーにもこの二人の関係は「アフロディアが先」であるようにも思えます。
アフロ役を演じられた神保なおみさんは
「アフロディアにとってマリンは最初から好みの男だった。」っておっしゃってるんですね。
だからこそ、よけいに・・・・どうにも罪作りなマリンだ。
そしてそれはジェミーに対してもそうなのであった。
ちゃんちゃん。

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第4話「亜空間突入の日」 
首藤剛志脚本 湯山くにひこコンテ 大庭寿太郎演出  1980年7月21日放送

ついに新兵器は完成した。
改良されたニュー・パルサバーンは2大メカと合体しロボット、バルディオスになるのだ。
しかし亜空間操行の可能なバルディオスを操れるのはSー1星人であるマリンしかいない。
クインシュタインはマリンに、ニュー・パルサバーンの操縦を依頼した。
しかしそれは同胞との戦いを意味するものだ・・・・
ためらうマリンの背中を押した物、それは父の遺言であり、何よりも圧倒的な自然の美しさだった。
マリンは地球と運命を共にすることを決意した。
ついにバルディオス登場!!
バルディオスのデザインといえば佐藤元さん。
ちまたではガンダム顔等と評されますが決定までは実にながーい道のりがあったそうで。
おもちゃになる事を前提にしたデザインは又、特別なモノなんでしょうね。
メカといえばこの3、4話に登場する卵形のやられメカ「ビックオクト」。
本放送時には「なんだこりゃー!」と思った物ですが、
これなんかも意外に水圧を考慮に入れたデザインだったりして。
卵形、というのは外からのショックに強いデザインだっちゅーのもどっかで聞いたことあるし・・・・
これで30話「地球不毛の日」のやられメカ「ジョラー」みたいな質感があったらなー
って考えすぎ?自分。

あと「バルディオス」という名前は「精力的な」とか「力強い」
といった意味の外国語の単語から作ったそうです。
スペインに「バルディオス」っていう名前のワインがあるんですよね。
案外スペイン語かもしれません。

さてこの4話は3話と連結した作りになっているのですが
4話のマリンはまたまたSー1星の私服を着てたりします。
(3話でジェミーに洗濯してもらったのが乾いたのかな?)
実はこのお着替えが意外に重要な気もいたします。
パルサバーンの操縦を依頼されるまでは私服。
そしていざ出陣の時はバルディオスチームの隊員服に着替えているんですね。
(ちなみに2話の戦闘シーンでは私服。)
これは地球と運命を共にする、というマリンの決意と取れるのではないでしょうか。
(そうすると3話で隊員服に着替える必要はあまりないという気がするのですが、
これはジェミーの好意の現れ、と取るべきでしょう。早くも女房気どりっちゅーわけだ。)

ビックオクトとの戦闘の後、しばし行方不明になるバルディオスですが
ジェミーが心配するのはマリンのことだけ・・・
おいおい!
会って何日かの男よりチームメイトの命の心配をしろよ!
そんなジェミーをよそにクールに帰還報告をするマリン。
どうやらこの時点でマリンが一番心を許しているのはクインシュタインのようですね。
(ジェミーにアレだけよくしてもらったのに・・・涙・・・・)
唯一、博士にだけ明るくポーズを取ってみせるマリンと笑顔で答えるクインシュタイン。
マリンの体を(というか人権を)一番気遣っていたのも博士ですしね。
そもそも博士は最初からマリンに操縦させるつもりでバルディオスを造っていたわけで・・・・
そこまで信じ切れたのはなぜ??
自分の星を守るために敵の星から来た青年にその将来を一任したわけですよね。
なんちゅー危ない綱渡りなんだ・・・・
しかも否が応でも雷太、オリバーをマリンに協力させるため(か?)
バルディオスはマリンの声でしか動かない、と来たモンだっ!
(でもこの音声入力システムは24話「バルディオス、パワーアップ」まで。
この回でパワーアップしてからは脳波連動システムを採っているのだ。
どのみちマリンの意志で動く訳ね。)
マリンは地球と運命を共にする道を選んだ訳ですが、逆も又しかり。
博士とマリンを結ぶこの絆はなんなのか??
まあ、この二人は元々はくっついちゃう設定だったし
(話が進むに連れ絶ち消えてしまったそうな)博士は実はマリンの母親だった!
って言う設定もありました。
実はマリンが憧れる女性は博士のような大人の女性、と広川さんもおっしゃってるんですね。
で、ちょっとこの線も目が離せなかったりするわけで。はい。

さて、バルディオスの活躍でとりあえずの窮地は脱するわけですが・・・・・・
月影ーーーーー!!!!
なんのアテもないまま2大メカを発進させて
敵のねらいがはっきりしてから次の命令を出す、っちゅー後手後手な対応・・・・・
そしてこれと同じ事を32話「破滅への序曲」でも繰り返してしまうのだっ!
(しかもまたもや水攻めだーーっ!)
だいたいアルデバロンは地球の地理を逆手に取った作戦が多い!
(そしてそれは首藤さんの脚本であることが多い。)
ちっとは学習しろーーー!!
もー、あんたみたいなのに地球防衛の最前線を任せなきゃならないなんて・・・・トホホ。
私ら一般市民は枕を高くして眠れやしない!もうっ!!


4話シナリオ執筆の首藤剛志さんのコラム
WEBアニメスタイルコラム シナリオえーだば創作術 首藤剛志著 第27回 バルディオス発進
に関連エピソードが載っています。
(2011年3月追記)


                                                                      

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 (2001年7月)