第26話 「謎の宇宙生命体」
佐藤茂脚本 山田雄三コンテ 山田雄三演出 
1980年12月21日放映


金星襲撃の際、撃墜されたはずの警備ロケットが発見された。
調査に乗り込むバルディオスチームだったが発見されたのは雷太と同期の女性パイロット、ジルの無残な変死体だった。
機内にはアルデバロンによって四次元生物アメーダスが忍び込まれていたのだった
神出鬼没のアメーダスでパニックに陥るBFS。
だが雷太の捨て身の攻防により地球は救われたのだった。


なんかこう・・・あらすじ↑書いても読んでもツライなぁ。
えーーー皆様は「エイリアン」という映画をご存知でしょうか?
シガニー・ウィーパーの出世作で「エイリアン4」まで作られた有名なSFパニック映画で公開は1979年だそうです。
で、26話はこのエイリアンのパクリ・・・じゃなくてインスパイアされたお話と言っていいと思います。
つーかまんま。

26話執筆の佐藤茂さんはバルディオスではこの1本書かれたきり。
WEBアニメスタイルスタイル連載の首藤剛志さんコラム「えーだば創作術 第28回 『バルディオス』に香水を……」
によると首藤さんが他作品でご一緒された脚本家で首藤さんが
酒井あきよしさん(シリーズ構成)に紹介して参加する事になったのだそうです。
あの・・・まあ・・・ここらへん邪推になりますが2クール(26話)から3クール(39話)に延長されたので
ぶっちゃけ話が足りない。
脚本が上がらなければしょうがないけれど酒井さんも首藤さんも手一杯。
(メインライターの一人、筒井ともみさんは28話を担当してるのでもう頼めない)
誰か書いてくれる人いないの!?
ってことでぶっちゃけ繋ぎで作られたお話なんだと思います。
きっとさ・・・
こんなキャラクターでこんな概要なんだけどメインストーリー絡まない形で一本書いてよ!!お願い!
みたいな経緯があったんじゃないかしら〜邪推ですけど。

そんなわけでお話に関しては特に言うことないです。
あー、はいはい、って感じ。
26話で面白いのは作画かな。
暴走気味でいかしてます!

セリフも何にもないけど妙に印象的な名前のヘンダーソン少将って製作スタッフさまの似顔絵なんじゃない?
とか
Aパート中盤、ジルの乗ったロケットをBFS格納庫に収容するシーンでアムロ(1stガンダムの)が出て来るよ・・
とかの遊びがいっぱい。
おそらく斉藤格さんが描かれたと思う特徴のある原画
(博士と月影の陰影が特徴的なシーン、ボブがアメーダスにやられるエレベーターのシーン)
も楽しめます。
サブタイトルの出し方も面白い。
個人的にはBパートでバルディオスがヨーロピアン上空、敵メカのすぐ横に横パーンで登場するシーンが好きです。
アルデバロンの一般兵士が窓越しにバルディオスを見てるんですが
「うわ〜バルディオスだ、でけ〜」
なんて声が聞こえてくるような想像力を掻きたてられるシーンです。
ほんの数秒の動きで並外れたバルディオスの大きさ(全長100m)を描いているのが面白い。
なんかこー、お話も軽いし作画陣もバルディオスに慣れてきて楽しんで描いてるんじゃないかなあ。

26話のアフレコ台本を持っているのですが雷太のモノローグで
「・・・俺はジル・・・を愛することは出来なかった。何時までも友達でいたかった・・・
ジルはそれを知っていた(本編ではカットされています)」のセリフがあります。
一方、本編冒頭ではジルのイニシャルが彫られたペンダントが雷太の自室(のドレッシングルーム)に置いてあり
それって二人は恋人同士だった・・とも取れますよね。
あー、いや、雷太とジルが付き合ってたかなんてまるっきり興味ないっすよね、つーか私はそうです。
こうやってレビューを書く以上、何か気の利いたことを書かねば
って思うんですけど私的にどーでもいい話なのでこれ以上何も出ないです。
これでも頑張って書きました!
・・・次の話もつまんないんだよね・・・・
どーしよ〜〜〜〜〜

第27話「私が信じたスパイ」 
酒井あきよし脚本 山室清二コンテ 関田修演出
 1980年12月28日放送


BFS帰還中のジェミーが敵の攻撃を受け消息を絶った。
負傷したジェミーは地球に亡命希望のアルデバロン将校、
ロマンに助けられ行動をともにしていたのだ。
必死の逃亡劇の末バルディオスチームと合流したジェミー達だったが
マリンは無言でロマンを射殺してしまう。
アルデバロンの内情を知るマリンだけがロマンがスパイであることに気付いていたのだった。


26話以上にあらすじがツライ27話・・・・
サブタイトル「私が信じたスパイ」は映画「007 私が愛したスパイ」のもじりでしょう。
完全に繋ぎエピソードです。
絵は綺麗なんですけどねー
お話に説得力が無いので見ててつらいです。眠くなる。
玩具購買層の子供達ならこの展開にハラハラ、ドキドキしちゃうんでしょうか!?

Aパート前半、バルチームの3人が三大メカに乗り込むシーンで
6話「灼熱の決死圏」のバンクが使われているのですが、これはちょっとびっくりしました。
(透明のチューブみたいなのがメカに直結していて滑り降りて操縦席に座る描写)
このカットは6話で使われたきりずっとお蔵入りしていたはず。
カッコイイ?と言えなくも無いけどさすがに子供っぽいので没にしたのだと思ってました。
こんな最後の方になって突然、復活したのはなぜかな?
(27話の後でも使われていません)
尺が足りなくなっちゃったから6話から持ってきたのか
それとも案外、この時期はスポンサー対策もされていたようなのであえて使ったのかもしれません。
玩具買ってもらわなきゃしょうがないですもんねー
そう考えるとお話もあえて子供向きに作ったのかも・・・と精一杯前向きに捉えてみる・・の巻。
作画も安定してきたしね。

うんうん、いいですよ、100歩譲ってお話が簡単でも。
でもね、27話でどーーーーーーーーーーーーーーしても納得できないのは
ラストでロマン(この名前もなんとかして・・・)を射殺したマリンが誤解の解けたジェミーに微笑むシーンです。
豪華本の塩沢兼人さん(マリン役)との対談の中でも神保なおみさん(アフロディア役)が
「あんなところで笑うなんてずいぶんにやけた男」と憤慨していらっしゃいましたが、まったく同感。
つーかマリンはたとえどんな理由があっても人を殺した後に笑えるような人じゃないはず。
ここらへんの破綻した作りは耐え難いものが有ります。

いや〜珍しく辛口でスミマセン。
大好きな作品なので「良い所を見つけて誉める」のスタンスなんですが〜オホホホホ。
なのでオマケでもう一つ。
本放送の時、本気でバルディオスが好きだったのですが作りが荒かったり
回によって出来不出来にムラがあったので基本的に一人で楽しんでました。
それが「甦った悪魔」から続く一連のアフロ様の心象話でぞっこん参ってしまいましてね〜
25話「ガットラー暗殺計画」のあまりの面白さに
やっぱりバルディオスはスゴイ!!
この面白さは今までに無いものだ、自信持ってもっと薦めよう!
って25話放送の翌日に友達に見てくれるよう頼んでみたんです。
(この頃、関東では日曜早朝の放送でした。当時一般家庭にビデオはありませんでした。
ついでに言うと当時は土曜も学校があったので朝ゆっくり出来るのは日曜だけだったのです。)

そんで一週間後の26話放送翌日に
「昨日見た??」って聞いたら「眠くて起きられなかった〜」って謝られちゃって
でもつまんない話だったから、あんなの見られなくて良かったってほっとしちゃって(ひどい)
「じゃあ来週、必ずね!!」って約束して〜
ここまで来たら流れはお解りですね。
一週間後、約束守って27話見てくれた友達に「すげーーーーーつまんない」って怒られちゃいました。
私も二週続けてハズレだ・・・って思ってたので反論できなかったですねーーー
これが次の28話、欲張って29話だったら一緒にファンになってくれたと思うんですが残念。
この友達の胸には「バルディオス=つまらない」の図式が出来てしまったのか
翌年公開の映画も見てくれませんでした。
ヤマトも999も009もみんな一緒に見に行ってたんですけどね〜
何かを好きになるのは孤高の道である
そう悟ったのもバルディオスから27話から、13歳の冬でした。



第28話「決死のランデブー飛行」 
筒井ともみ 鈴木裕二脚本 佐藤元コンテ 西村純二演出 
1981年1月4日放送


ふとした行き違いで仲たがいをしてしまうマリンとジェミー。
マリンに想いをよせるジェミーは心無い態度に傷つき頑なになってしまう。
2人を案じた月影は秘密任務を命じるが
意固地になったジェミーは単独行動を起こし危機に陥ってしまう。
今、すべきは私情を捨てた協力・・・
負傷したマリンを助け供に乗り込んだパルサバーンで戦うジェミーは昨日までのジェミーではなかった。


やっと28話だよ〜嬉すぃぃ〜♪
つまーんない話(オイ)が続いた後にロボットアニメらしくない恋愛主軸の話ですからねー
女子の皆さんは特に楽しく見ていただけるのではないでしょうか。
マリンとジェミーの恋愛に一区切りな感はありますが基本的には本筋に絡まないお話です。
作画もいいし全体に軽いと言いますか「誤解とすれ違いを繰り返して途中、ちょっと笑いもあり」
一頃のトレンディードラマ(死語)みたいな作風なので気楽に楽しんでいただけると思います。

この回はなんて言ってもジェミーが良い!!
本放送見てたローティーンの頃はバカでぶりっ子で嫌な子!!って思ってましたが
それって同属嫌悪ってヤツで見てる自分に近いから・・・だったのかもかもしれません。
四十路を過ぎた目で見てみればなんて可愛らしい。
恋する女の子そのものですよ。(懐)
惚れた男の一言に一喜一憂して振り回され、意地を張り可愛げないようでいてその実、素直。
TVアニメなのでやや誇張されてる部分も多いかもしれませんが
ジェミー役の横沢啓子さんの演技もあいまってとても生き生きと描かれています。

28話はバルディオスで演出デビューした西村純二さんの演出回なのですが
(クレジットの上では3本目の演出)
豪華本によると西村さんは実写出身とか。
当時のTVアニメの女の子像って割とステレオタイプって言うか
ジェミーもほかの回だとそんな感じなのですがこの回はとてもリアルです。
もしかして実写で培った西村さんの感性や女性観が出た結果だったりして!?
とかなんとか思っちゃったりもしてるのですが違うかな?違うんだろうなー

バカで可愛いジェミーに対してBパートに登場するアフロ様はクールです。
物語的には「味方のジェミーよりも敵のアフロの方がマリンを理解していた」=「マリンに相応しいのはアフロ」
ってのが正解なんでしょうけど、なんでしょうけど〜
28話のマリンってものすごく表情豊かなんですよね〜拗ねたり怒ったり。
マリンは自分の感情をストレートに出さない(出せない)人でそれって悲しい生き方だと思うんですよ。
ちょっと抜けてるジェミーだからこそ素が出せるってもんでさー
怒ったり笑ったり、眠っていた感情を引き出させてくれるジェミーは
マリンにみたいな子にはお似合いだと思うんですけどねー
マリンもそこら辺が解らないからジェミーの事、粗末にしちゃうんだろうなあ・・
つーかバルディオスはマリン以外でも相手選びがヘタクソつーか
わざわざ合わない相手を好きになっちゃってますよねー
マリンはジェミーにしとけばいいし(高飛車である)
ジェミーだってマリンよかオリバーの方が(長い目で見たら)幸せになれるって!
中年の目から見ると歯がゆいし切ない。
みんな若さがまぶしくて痛々しい。
好きになるって理屈じゃないのね・・・

ちょっち切ないこのお話を書いたのは筒井ともみさんと鈴木裕二さん。
筒井さんは14話「さらば愛しの妹よ」以来、久々の執筆です。
28話のように連名で脚本を書くってどういう事かよくわからないのですがなんとなく見知った例として
1)どちらかがアイディアを出しどちらかが執筆
2)どちらかが書いたものをどちらかが大幅手直し
3)書いたのは一人だが他の人の書いた物を使っているので連名
などのパターンがあるようです。
バルディオスですと30話「地球不毛の日」は(1)のパターンで
鈴木裕二 広川和之
とクレジットされているのですがこれは広川さんがアイディアを出して鈴木さんが書かれたもの・・・らしいです。
また映画版バルディオスは執筆は酒井さんですが
TVシリーズの首藤さん、筒井さんの書かれたエピソードを使用しているので「TV版脚本」として
首藤剛志さん、筒井ともみさんのお名前がクレジットされています。
(WEBアニメスタイル「えーだば創作術(首藤剛志さん 著)」第30回第31回参照)

じゃー28話はどのパターンか!?と考えると
WEBアニメスタイルの首藤剛志さんのコラム「えーだば創作術 第28回」
「筒井ともみ氏と首藤剛志である。どちらも自分の脚本を簡単に直すタイプではない。」
とあるのでとりあえず(2)はなさそうな気が・・・
(3)も映画ならいざ知らず30分のTVアニメでは考えにくい。
筒井さんは女性心理の機微を得意とする作家ですし実物を読んでみると(所有してるので)
なんとなくあたりが柔らかくて書いたのは筒井さんかなーという印象です。
前回14話でロボットアニメなのに合体シーン無し!!の脚本を書かれた実績もあるので
なんとなーく、なんとなーくですが、鈴木さんがアイディアを出して執筆は筒井さんではないか・・
と勝手に思っているのですが真相はいかに。

28話は作画もいいんですよね。
豪華本には「作画監督 上條修」とありますがどう見ても上條さんじゃないでしょう。
普通に葦プロ作画&どこかに外注(国内)したのだと思うのですが〜
Bパート後半、人質に取られたジェミー&マリンがアフロディアに対峙するシーンは
確認取ったわけではないですが斉藤格さん作画で美しいです。
このシーンは、それってどこの三文芝居でつか???つーくらいクサイ展開なのですが
(射撃の名手アフロディアが外す外す(爆!)見えなくなった目を押さえるマリンの芝居etc) 
良い具合に娯楽として楽しめる作りになっています。
それにまた背景が美しい!
大きく傾いた三日月と月明かりに照らされた雲、辺りを覆うような闇夜・・・
そこに浮かび上がるラブ・トライアングル!
それ、ギャグでやってんのっ!!って指差しちゃうほど突っ込みどころがいっぱいなのに
作画と情景の美しさで魅せてくれて続くジェミー踏まえた合体シーン、戦闘シーン、ラストへと綺麗に繋いでいきます。

バルディオスってどしーんと重い話とかハズレの話、どーしてもアラ(主に作画)が目に付いてしまう話が多くて
こーゆー素直に楽しめる話が少ないんですよね。
ジェミーの気持ちを思うと本気で可哀想だけど
マリンの王子様っぷりや痴話げんか中のカップル(じゃないんだろーけど同じことだ)を送り込まれた
レイジ島職員の困惑っぷりがおかしくて何度見ても笑えちゃいます。
ランデブー飛行ってタイトルもいいじゃん!
ランデブーなんて言葉、最近は使わないけど
あの当時はそこそこ見かけるしゃれた言い回しだったような覚えがあります。
この先のバルディオスは破滅モード一直線なのでこんな風に面白おかしく
(しかも安定して)見れるのはこれで最後かもしれません。
存分に笑って泣いて怒っちゃってください!!>もちろん怒るのはマリンに対してだ!


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2009年11月