36話「アフロディアに花束を(後)」シナリオ コピー 2
36話はシナリオとコンテ(Aパートのみ)と原画の一部は終わっていたと考えています。 なのでAパートは出来上がったコンテを、Bパートはコンテ担当の広川さんがプロットか何かにまとめて、 それを文章化したのが豪華本に載ってるあらすじだろうと思っています。 ムック本等に載ってる図版は未放映部分を紹介する意味で原画からセルに起こしたものと こんなシーンになるんじゃないか?的にイメージボード的に起こしたセルの二種類が掲載されていると考えています。 原画の上がってるカットから作画に移っていった可能性もあります。 |
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本橋さんの原画 (以下同じ) 徳間書店月刊アニメージュ 81年8月号 (以下同じ) |
ムック本掲載の図版 発行順 (以下同じ) 徳間書店アニメージュ 1981年4月号 葦プロダクション 「宇宙戦士バルディオス」 徳間書店ロマンアルバムデラックス |
原画は本橋さんがですがセルに起こしたのは 葦プロダクションかな。 (そんでアフロディアが素足で明らかに彩色ミス) このカットは結構あちこちで使われています。 (劇場版公開時に発売された ロッテ バルディオスフーセンガム) |
意識を失った状態でアフロディアはBFS基地に連行されます |
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葦プロダクション 「宇宙戦士バルディオス」 |
左の図版、背景が司令室なので 尋問室に移って脳波探査にかけられる前でしょう。 ここでアフロを保護したいマリンと 復讐に燃える隊員&冷静に脳波探査を命じる 博士との温度差が描かれているのではないかと。 アフロディアはおそらく失神様態。 意識があると立場的に何かアクションさせなければいけないけど メインストーリーに必要ないし、全体の尺の関係もあり 黙らせておきたかったのだ思います。 その方が痛々しいしね。 (シナリオでは歩いて連行され、意識もあり悪態ついてます) 縮小したので分かりにくいですが 図版はいのまたさんっぽいんですよね。 (マリンが特に。 いのまたさんが本橋さんの原画から?起こしたような気もします) |
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上の3人のカットで雷太とやりとりををして 諦めと悲しみの表情で眠るアフロディアを見つめるマリン |
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葦プロダクション 「宇宙戦士バルディオス」 |
からのマリンの視線上の 失神中のアフロのクローズアップ?とか? 背景が写ってないので尋問室の可能性もありますが。 |
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憎しみに燃えるBFS隊員とアフロを気遣うマリンとの間には溝が・・・ 指揮官である博士は情報を引き出すためアフロへの脳波探査を命じる。 |
葦プロダクション「宇宙戦士バルディオス」 徳間書店アニメージュ1981年4月号 徳間書店ロマンアルバムデラックス 「宇宙戦士バルディオス」 |
これ、絵的に本橋さんじゃなく、いのまたさんだと思うんですよね。 こういう構図の原画もあったのか 原画は関係なく豪華本のために描き起こしたのか。 2人の表情や位置関係から 脳波探査にかけられる前だと思うんです。 脳波探査決定 ↓ アフロなめ ↓ 何も出来ない自分の無力さをかみ締めアフロを見やりつつ 視線を外そうとするマリン・・・ とかどうでしょう。 |
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葦プロダクション「宇宙戦士バルディオス」 徳間書店ロマンアルバムデラックス 「宇宙戦士バルディオス」 |
場面が尋問室に移っている模様。 司令室でも出来そうなものですが (実際には出来ないんだろうけど昔のアニメだから) 場面が移ることで マリンの気持ちの切り替えも表現してるんだと思います。 (司令室では具体的なセリフや行動でアフロを気遣うが 探査中は苦しむアフロを正視出来ないだけで反論はしていない模様) |
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アフロディアの意識が戻っています。 セリフの有無など具体的なやりとりは分かりませんが 自分がどんな状況で、これから何をされるか全て分かっている そんな暗い、諦めの表情です。 本橋さん、さすがだ!! |
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葦プロダクション 「宇宙戦士バルディオス」 徳間書店 ロマンアルバム デラックス 「宇宙戦士バルディオス」 |
劇場版では博士は指示を出すだけで 実際の脳波探査はジェミーが行いましたが 36話では博士が操作しています。 (豪華本に「博士自身がその操作をした」とある) |
葦プロダクション「宇宙戦士バルディオス」 |
徳間書店ロマンアルバムデラックス 「宇宙戦士バルディオス」 |
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豪華本に 「マリンは苦しむアフロディアを正視できない」 とあるのと やはり豪華本にある本橋さんのインタビューに 「36話の苦しむアフロディアを見守るマリンの表情が、 自分なりにうまく表現できたと思っています」 とあるのでここに入れてみました。 左の原画は司令室の可能性も(BANKで両方の可能性も?) |
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博士の手によって脳波探査にかけられるアフロディア。 尋問と言うよりは拷問に近く、苦しみにのたうつ姿をマリンは正視できない。 |
葦プロダクション 「宇宙戦士バルディオス」 |
これもいのまたさんっぽい絵なんですけど 豪華本の36話紹介の所に載ってたのでここに入れてみました。 あらすじによると オリバーが単体で活躍するのはこのシーンだけみたいですし。 このオリバー、何かを(誰かを)見て驚いてる風ですよね。 視線の先に覚醒したアランが居ると思えば納得。 |
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「尋問室に向かうオリバー。そのとき突然アランが襲いかかり銃を奪った。」 豪華本をそのまま引用しました。 |
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アランは5話「甦る復習者」で S-1星人憎しで軍規違反を起こし懲罰で冷凍冬眠された ゲストキャラです。 5話では感情的なキレ易い性格に描かれています。 36話を盛り上げるために広川さんがコンテの段階で再登場させたと伺っています。 (津波で地球軍の全てを、34話ではハーマンの海底基地も失くしてるので)戦力として冷凍を解除されていた、の説明が挿入されるのだと思います。 |
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アランは尋問室に乱入しアフロに銃口を。 博士の説得にも応じず引き金を引くが、アフロをかばったマリンが犠牲に(肩を撃たれ倒れる) |
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葦プロダクション 「宇宙戦士バルディオス」 |
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混乱の中アフロは銃を手にし、倒れたままのマリンに向けるもジェミーが身を投げ出しかばう。 |
「「お前はガットラーを裏切ったのではなかったのか・・・・」 苦しい息で告げるマリンの言葉にアフロディアの表情が変わる。 (中略) その銃撃はマリンをでなく、逃げようとしたアランを撃ち抜いた。」 豪華本をそのまま引用しました |
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別段、個人的にアフロと会話した様子はなかったのですが 味方に攻撃され追われてきたアフロディアを「ガットラーを裏切って逃げてきたのではないか」と あらすじのマリンは思っていたんですね。 対してアフロもマリンの言い分はまんざら外してるわけでもなかったから顔色が変わった、と。 雷太やオリバー達地球人にそんな発想はまったくないわけですが>あたり前 20,21話「甦った悪魔(前・後)でアフロディアと共に過ごし戦ったマリンならそう考えても不思議じゃないです。 人口太陽による津波作戦をアフロディアも支持したのだろうか? とか もしそうじゃないなら、いつかガットラーから離れるのではないか (その時は手をとりあえるのではないか、支えたい) 35話までにそんな描写はなかったけど画面の外ではそんなことも夢見ていた・・・ 36話もあらすじを読む限り別にそういう描写は入ってないです。 でも視聴者にそう読ませることを期待した演出が入っての、このセリフなんじゃないかと私は思いました。 (そうするといのまたさんコンテのラストに繋がるので) この後アフロディアはBFS基地を脱走します。 36話Aパートはシナリオだとマリンが地下室に入室する所までですが ここまで内容が変わってるとコンテでどこまでがAパートだったか解らないんですよね。 でも豪華本みると、マリンが撃たれ、続いてアランが撃たれた後に アルデバロン(要塞アルゴル)に場面展開してるっぽいんです。 以降、図版(セル)の数も大きく減りますし、絵柄も本橋さんっぽくないものばかりなので Aパートはアランが撃たれた所までじゃないかなあ、と考えています。 |
36話の図版を意識して劇場版を見ると随所に似たような構図が使われているのがわかります。 脳波探査周辺の流れを見ても 劇場版も司令室でのアフロは意識が無く脳波探査は尋問室に場面転換 (司令室から尋問室へはマリンがアフロディアをお姫様抱っこで連れて行く) 随所に罵倒する隊員のカットを挿入して各人の感情差を描き 脳波探査中にアフロは意識をとり戻しています。 劇場版のこの辺りは出来上がっていた36話コンテと本橋さん原画を拾って作画されたのではないでしょうか。 36話を推測できるTVファン的に美味しいシーンです。 |
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本橋さん原画 | 図版(豪華本、他に掲載) | 劇場版(DVDより) |
原画、図版は本橋さん 劇場版はいのまたさんで微妙に表情が違う |
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いのまたさん作画&セルも新しく作ってるから 構図は同じだけどアフロのボトムがちゃんと軍服 |
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ついでに劇場版のこの辺り 全部いのまたさんが描いてると思いきや、TV29話「地球氷河期作戦」のマリンやクインシュタインも流用しています。 (いのまたさんの新作作画と綺麗に繋いでいるので違和感がまったく無い) 編集が見事なのでそっちの意味でも見所です! |
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(2019年8月)