TONYについて

当時の関連資料は
主題歌を担当することになったTONYについての情報や
レコーディング、楽曲製作のエピソードが掲載されています。

劇場版バルディオスの公開は1981年12月ですが
同年7月に大阪、梅田で行われた最初の映画化記念イベントにTONYは出演していません。
(このイベントのゲストは塩沢兼人さん(TV,映画マリン役)、神保なおみさん(TVアフロディア役)
たいらいさおさん(TV挿入歌)広川和之さん(TV監督、映画演出)相原義彰さん(プロデューサー)
TONYの起用はまだ決定していなかったか発表できなかったのかもしれません。

私も所属していた当時のバルディオス・ファンクラブ会報によりますと
81年9月に葦プロの相原プロデューサーを訪問した際に同氏から
「主題歌はTONYが担当する」との情報を引き出してますので
この時期には決まっていたようです。
アニメ雑誌にはじめてTONYの記事が載るのは81年11月号(81年10月発売)です。


秋田書店マイアニメ
 1981年11月号



近代映画社
ジ・アニメ11月号

アイドルっぽい?



TONY起用については相原プロデューサーがマイアニメ11月号に

「TONYというグループについては、ほとんど予備知識もなく、
オーデションのテープを聞くまで不安でした。
が、テープを聞いてみるとイメージ、フィーリングとも
「バルディオス」の海のイメージとぴったりだったので一発で決定しました」


とあります。
紹介記事はだいたいどこも似たようなことが載ってるんですが映画のパンフが一番詳しいかな。

「現在、日本ラジエーター・カーエアコンのCM曲
「ウエンディ・シャワー」ヒットチャート上昇させている
フォーク色を超えたニューウェーブグループがTONYだ。

’76年彼らは酒によって出会い、酒によって「音楽の心」が意気投合。
チューリップを離れた上田雅利をリーダーに’80年2月TONYが結成された。
同年7月「ひと夏のスクリーン」でレコードデビュー、
10月「トワイライト・フリーウェイ」をリリースし、並行し各地でコンサート活動を続け、
若者たちの心を魅了してきた。

メンバーは、
上田雅利(’50・10・2生まれ、福岡県出身、ドラムス)
加瀬田靖(’56・12・9生まれ、小倉、リード、ギター)
佐藤真紀(’56・12・1生まれ、東京、ボーカル&ギター)
西村昌敏(’58・8・30生まれ、佐賀、ベース、ギター)
の4人。

時代の流れに合ったリズムとポップなメロディ、心にしみ通るボーカル。
このTONYサウンドが作り出す初のアニメ主題歌はまさに
《スペース・ラブ・ロマン》「宇宙戦士バルディオス」の海のイメージにぴったりの話題曲だ


画像、テキストともに
(宇宙戦士バルディオス 映画パンフレット 東映株式会社映像事業部発行 1981年
画像はレコーディング風景)

綺麗にまとまっていますが
やはりチューリップや上田さんのファンの方が作られた記事のほうが詳しいです。

TONY (inCOMPLETE TULIP CHRONICLE)
TONY ーBlue Grayー
TONY  (上田さん勝手に応援団)


秋田書店マイアニメ 
1981年12月号
こちらもレコーディング風景。
1981年9月30日レコーディング とあります。
この記事、すごく面白いのでちょっと長いですが引用します。

当日は、リードボーカルで主題歌の作詞作曲の佐藤真紀氏が一時間ほど遅れるというハプニングがあったが、リーダーの上田雅利氏が曲の解説をしてくれた。

「曲は大体みんなで作りますが、今回はメンバー4人が競作して、
それで佐藤君の作品に決まったわけです。
彼のイメージが一番ぴったりしていたわけですが、彼に言わせると、
この曲は浜辺でアフロディアを抱いたマリンのシーンを見ながら作ったということです。

曲作りにあたっては、マリン、アフロディア、バルディオスなどという
固有名詞を使う必要がないということで、かなり自由に作ることができました。
それとオープニングとエンディングは意識的に変えてみました。
僕自身の考えとして、オープニングはマイナーじゃいけないと思ったものですから。」

中略

まず「バルディオス」という作品と映画音楽初体験について上田氏は
「バルディオスは、この話のある前に数回見ているんですが、
名称と内容は一致していなかったんです。
改めて再放送などを見てみると、子供向けじゃない、アダルトな雰囲気や、部屋の鍵を開けて待ってるなんていう男と女の関係を感じさせて朝の食卓でどきっとさせられましたね。

ミュージシャンにとって映画の大画面から自分たちの歌が聞こえてくるというのは、
一種の夢なんです。
それに正直言って大好きなアニメの仕事でしたので、非常に乗ってやれました。」

最後に「バルディオスという作品のイメージは。
「海の色が目についた、ということです。大自然の大切さなんかが。
でも、アフロディアって良い・・・・」

(画像、テキストともに秋田書店マイアニメ 1981年12月号より)

左上のカットは「素顔のままで」「Sea WInd」のシングルレコードジャケット(いのまたむつみ)
右下のカットは映画音楽集予約特典のポスター(影山楙倫)
上田さんインタビューにある「部屋の鍵を開けて云々」は
29話「地球氷河期作戦」のことだと思われます。

またレコーディングについて学研アニメディア12月号には

去る9月30日、東京護国寺のキングレコード第2スタジオにおいて、レコ−ディングが行われ、
リーダーの上田雅利さんは38度の熱をおしながらの大熱唱。


とあります。
上田さん、熱出てたんかー。

TONYについては広川和之さん(TV版監督 劇場版演出)から少しだけエピソードを伺っています。
TONYとの打ち合わせの時に「新内節のイメージで」とオーダーしたそうなのですが
上手く伝わらなかったようなので「新内節とは何か」と説明した所
メンバーの皆さんの顔つきが変わった。
その後上がってきたのが「素顔のままで」だったそうです。

秋田書店
マイアニメ12月号
これは1981年10月5日 東京会館で行われた製作記者会見の様子です。
TONYの他東映セントラルフィルム(株)社長の鈴木常承さん
総監督の鳥海永行さん、デザイナー松田光弘さん(アフロディアの私服をデザイン)
戸田恵子さん(劇場版でアフロディア役)堤大二郎さん(ラスカ役)が出席。
今じゃ考えられないメンツです。
(ちなみに戸田さんは緑のウイッグかぶって
松田さんデザインの紅白ツートンのワンピース(ウチでいうとコレ)で登場でした(汗)



いわゆるムック本です。
老舗の徳間書店ロマンアルバムなど複数の出版社からでましたが
このジアニメ増刊号はTONYの(多分)手書きスコアが掲載されています。
拡大してみましょう!>いいのか(汗)
近代映画社
ジ・アニメ臨時増刊号
宇宙戦士バルディオス



素顔のままで



こちらも拡大!
近代映画社
ジ・アニメ臨時増刊号
宇宙戦士バルディオス
Sea Wind




ちなみに徳間書店のロマンアルバム47 宇宙戦士バルディオス
にも「素顔のままで」「Sea Wind」の楽譜が載ってます。

映画公開から33年!!
マスター録音のこの2曲をBlue Grayで聞いてあの頃の記憶が一気に甦ってきました。
音が呼び起こす力って凄いですね。
81年12月19日の映画初日。
OPの2人の灯台の出会いから波を背景に「Sea Wind」が流れてきて・・・

劇場版にまったく期待していなかった(オイ)のですが
「Sea Wind」終了、続く戦闘機の乱入シーンまでは鳥肌が立つくらい感動しました(泣)
バルディオスってやっぱりスゴイ!
・・・って思ったのもつかの間、その後は思った通りボロボロで
何が何だかわからないうちに「素顔のままで」が流れるEDに突入、
繰上げで早朝から上映だったので(並んだ人が多かったので上映時間が繰り上げられたのです)
朝の9時台には映画館を出され、呆然としたまま家に帰った悲しい
記憶が当時の気持ちのままに猛然と甦りました。

(映画を知らない方のために説明しますと最初の数分間は
新しく描きおこされた大変美しい新作カットが続くのですが、その後はTV版からの流用が多く
随所に見所はあるものの一本の映画としてはどうなのよ!
ってのが劇場版バルディオスなのれす)

けなしてるようですが30年たってしまえば、そんなこんなもいい思い出。
私は子供の頃、なんで大人(と言うか親世代)は懐かしのヒット曲とか、あの頃の○○
とか、そんなんばっかり聞いてるんだろー。
そんな昔の曲を聞かなくたっていい曲がいっぱいあるのに、ってそう思ってました。

でも、そうじゃないんだね・・・
新しい物の中にも良いって思えるのも、勿論ある。
だけど昔の曲には思い出があるんだよ・・・・
それはもう、何物にも変えがたい宝物なんだって。
音楽って凄いなって心の底から思いました。

「素顔のままで」も「Sea Wind」もDVDで何度も聞いたしカラオケでも歌ったし
ディスクユニオンの興しCDでも聞くんだけど今回「Blue Gray」で聞いたときほど
あの頃の思い出が喚起されたことはなかったです。
音だけだからなのか、マスターで音がいいからなのか、単に年をとったからなのか。
理由はわからないけどこのCDを知って、聞けて本当に良かった。
たくさんの方に聞いて欲しいです。

1981年11月21日
キングレコードより発売

素顔のままで
作詞・作曲 佐藤真紀
編曲 鈴木宏二・TONY
Strings Arr. 青木望
TONY

Sea Wind
作詞 上田雅利
作曲 佐藤真紀
編曲 鈴木宏二・TONY
TONY

ジャケットイラスト いのまたむつみ


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(2014年3月)