未放映35話「アフロディアに花束を(前)」のシナリオです。 (表紙にある「さらば!アフロディア」はこの回の仮題) 決定稿の「アフロディアに花束を」はSF好きだった広川和之監督のネーミングで ダニエル・キイスのSF小説「アルジャーノンに花束を」のもじりで TV版サントラでも曲名に使われています。 私は20年位前に2冊持ってるバル友達に譲ってもらいましたが TV放送終了~映画公開の頃(おそらく1980年~81年頃) 葦プロダクションの商品を多く扱っていた吉祥寺のアニメショップ「あいどる」や 東映系のアニメショップ「ぺろ」で店頭販売の他、葦プロダクションの通販もあったようです。 (35話シナリオに限らずに放映分のシナリオ 他の未放映シナリオや未放映コンテも売られていたそうです) とにかく古いものなので染みやヤケが目立ちます。 バルディオス的に貴重な資料ですがあと10年?20年もたってファンが高齢化して 商品価値が無くなってしまえばただの紙ゴミと化してしまうのではないでしょうか。 需要があるうちに商品化して欲しいものです。 ものすごーくたまにオークションでもみかけます。 (20年で1~2回程度) |
1ページ目、シーンNO1「海辺」 他の作品は知りませんがバルディオスのシナリオは手書きです。(アフレコ台本も手書き) 当時(1980年)の事ですから おそらく元々の原稿も手書き?ですよね。 それをさらに手書きで 印刷したから・・・ かどうかは分かりませんが 間違いも生まれたそうです。 これは広川監督に伺った話ですが 3話でクインシュタインが発するセリフに 「反動エンジン」と言う言葉があります。 これ「反重力エンジン」が本当で3話のシナリオには 確かに「反重力エンジン」と書かれています。 作業段階のどこかでで 「反重力」→「反動」に変わってしまい現場チェックをすり抜けてアフレコ 気が付いた時は時間がなくて修正できなかったのだそうです。 さて話を35話シナリオに戻しましょう。 81年頃発行の同人誌 (発行者や誌名は判らなくなってしまいました) の加藤博プロデューサーのインタビューによると 「35話は撮影を残すのみだった」 とあります。 8年くらい前?だったかな? このシーンのマリンとアフロディアのセルがオークションに出てたのを見たこともありますし (田中保さん作画のマリン(BFS服)とアフロディア(オレンジ私服) 豪華本やアニメ雑誌などにも絵的に35話と思われるカットが掲載されていますので 作画はフツーに終わっていたのだと思います。 |
このナレーションはくどいと思ってたら(月影の声だし)コンテではちゃんと別のカットにさしかえられてました。 (詳細は次回35話コンテで) こういった心理描写はアニメで表現するのが難しいと思いますがやはり映像で処理して欲しいところ。 ナレーションに逃げるのはどうかと思います。 コンテ(湯山邦彦さん)good job! |
ここは豪華本のいのまたさんカラーコンテでもおなじみのシーンですね。 そんで突然出てくる幹部のガロ。 ガロと言う人物は8話「ヒマラー山脈の決闘」に出てくるアフロディアの部下なのですが 8話を見る限り死んでるんですよ。 まあ、死んだとはっきり描かれたシーンはないのですが ガロが乗っていると思われるやられメカがバルディオスに破壊されますし アフロディアは小型機で脱出するシーンが入りますがガロが同乗してる表現はありません。 これまでの各話の戦闘シーンは バルディオス勝利でやられメカ粉砕→アフロディのみ捨てセリフを残して逃走、ゲストの敵は死亡 がお約束だったので視聴者目線では死亡と認識のキャラです。 9~34話までの各話でも特に伏線も張られず35話シナリオ上でも 「生きていた」「死んでなかった」の説明がなく突然登場するので流れ的にはかなり不自然なんです。 (8話シナリオも35話と同じ、シリーズ構成も務めてる酒井あきよしさんなのですが忘れちゃったのか何も考えてないのか) なのでさすがにまずいと思ったのかコンテではガロの双子の弟ネグロスと設定され 流れに沿ったセリフも追加されています。 ネグロスと言うキャラ自体は映画でもガロの双子の弟設定で登場しますし 映画化の際に発売された小説でも登場してるのでバルディオスファンにはなじみのあるキャラだと思います。 突然出てきた双子の弟って聞くとご都合主義に感じられがちですが アフロディアを失脚させるわけですから単に野心家と言うよりも個人的な恨み(兄の仇)を抱いていた方が説得力がある。 しかもガロはスタジオZ5の本橋秀之さんデザイン&作画の美キャラです。 アフロディア死亡後の敵側の重要キャラですのでビジュアル的にもガロと同じ(双子)は使い勝手が良かったのだと思います。 |
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少しページを飛ばします。 上記のガロ(ネグロス)vsアフロのシーン、ラストでアフロディアは身柄を拘束され 洪水後の地形から地球=S-1を推測し戦争反対を唱えるムラン(35話ゲストキャラ S-1星人の科学者) を粛清したガロ(ネグロス)はその秘密をたてにガットラーに司令官の地位を要求 ガットラーの元にアフロディアが連行されます。 前半の山場です。 |
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一連のシーン、コンテになってもあまりセリフに変更ありません.。 セリフとセリフの間に細かい芝居が入り、互いに相手に対する距離が浮き彫りになり切ないです。 私は酒井さんのシナリオはあまり好きじゃないのですがここのやり取りはすごく良いと思います。 よくここまで踏み込んでセリフにしてくれた!と思います。 コンテでは17ページラストでアフロディアが使用する武器が光線銃から隠し持っていたナイフ に変更されているのと そのナイフをガットラーには向けずに最初から自分に向ける に変更されています。 (ガットラーに殺傷能力のある武器を向けるのはやりすぎと感じます) ナイフに変わったのはそれまで身柄を拘束されていたのに銃を携帯しているのはおかしい、との判断でしょう。 (と言うかシナリオ上だと、この銃がどこから出てきた誰の銃か分からない) ガットラーの銃を奪わせるにはそのための芝居が必要だが無駄な尺は作れないし 体格差から見てもアフロディアが銃を奪うのは不自然です。 19ページ インサートフラッシュ 「絡み合う美しい男と女のシルエット」からアフロディアのセリフまでコンテではかなりの変更があります。 比べたほうが判りやすいので詳細は次回コンテで。 シナリオだけ読むと気になるのは「たった一度の契りだった・・・・」の部分です。 大人になってから読んだので一度きりと言うのはありえないよな、と。 (ガットラーが引き下がったなら紳士?かもしれないけどキャラ的に考えられない つーか紳士は養女に手を出さないっつーの) この辺りコンテでは違う表現になってるので突っ込んでもしかたないのですが 酒井さん的に何を思ってこのセリフになったのかなあ・・・ってね。 読んだのが本放送の頃(中学生でした)だったらそんなものか、と特に疑問に思わなかったかなぁ。 酒井さんも深く考えずに「過去に関係があったが今は切れてる」を伝えたくてこのセリフなんですかね。 切れてる割にはガットラー、色々しつこすぎでイヤなんですが>男性はそんなもんかもしれませんが>権力者だしね 今も切れてない、と考えると納得ですが「一度きり」と具体的なセリフがあると「今はない」とみるのが自然ですしねえ。 |
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またページを飛ばします。 新司令官に就任し艦隊に演説を説くガロ(ネグロス)の前に 銃を持ったアフロディア登場 ガロ(ネグロス)に抗議&殺害を企てるも兵に取り押さえられ再度、身柄を拘束される ガロ(ネグロス)権力の座に着き不敵な笑い ここでAパート終了です Bパート冒頭は地球軍のゲリラ戦とバルディオスの空中戦 月影を失い意気消沈のバルディオスチームに檄を飛ばすハーマンが描かれます |
← | こうやって書くとアフロ、バカ杉ですが コンテだと銃がナイフになってるので 若干トーンが落ちるので 勘弁してあげてください |
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Bパート中盤、投獄されてるアフロディアの元に移民プロジェクトのメンバーと名乗る男たち登場 アフロディア、ムラン博士暗殺の報を受け、一瞬躊躇うも男たちの手引きで脱走 ガロ(ネグロス)よりアフロディア脱走の報を受けたガットラー、苦渋の思いで処分をガロ(ネグロス)に一任 BFS基地のモニターに写る脱走したアフロディアの戦闘機と追撃するアルデバロン戦闘機との同士討ち 制止を振り切ってマリンが救出に向かいます |
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ここで終了です。 コンテでも大きな変更はありません。 コンテではセリフだけ読むと伝わりにくかったマリンと雷太、オリバーの温度差がはっきりと描写され マリンの立ち位置やアフロディアをかばう後編の伏線になっています。 戦闘シーンも細かい描写で引き込まれる映像を目指していたのが分かります。 35話のおおよその流れは以上なのですがBパートには ハーマンと共に激を飛ばすクインシュタインを月影が死んだばかりなのに泣きもしないし冷たい となじる雷太&オリバーそれを否定するジェミー&マリンのシーンと 一人、月影を思って泣いている博士を見てしまったマリンが (愛する人の死に)涙する普通の女性であってくれて安心した 等と言うシーンが入ります。 私は読んでてあんまりだな、と思いました。(文字だけだとホントにツライ) 大人になってしまったので厳しい見方をしてしまうのかもしれませんが雷太&オリバーはバカかあほか、と。 マリンもなんだかなあ・・・・ この2つのシーンはコンテでも残ってるのですが画面として作られた中に入ると シナリオで感じたアホ臭さがかなりの部分、消えるんです。 やっぱりキャラに表情が付いてますし声優さんの声に変換して読みますからね。 それでも私はこの2つのシーンは無くてもいい (首藤剛志さん執筆の25話「ガットラー暗殺計画」のようにアフロディアのエピソードに絞って尺を有効に使って欲しい的な) と思うのですがさてどうでしょう。 35話コンテ、無茶苦茶面白いですよ! 乞うご期待! |
(2018年9月)