ブロンズ社 月刊アニメーション 1980年8月号 NO.7 1980年7月10日発行 定価550円 現在は休刊 参考リンク アニメ雑誌目次データベース 津堅信之の アニメーション研究資料図書室 新番組紹介の趣旨で 白黒2P 設定資料、解説。 広川さん、新井さん小松さん(録音監督)コメントが載ってます。 |
月刊アニメーションという雑誌の中で広川監督が 「(TV版バルディオスについて)まだ未定だがベットシーンもあるかも・・」 って発言してるらしい!? 中学、高校の頃入っていたバルディオスのファンクラブでそう聞きつけたのがきっかけでした。 ベットシーン・・・ (今じゃー使わない言葉だよねえ・・・しみじみ) それって誰と誰よ!!>ストレート杉 確認せねば~~~~~っ 当時すでに「バルディオスの物は全部買い」を自負していた私ですが この本はあまりにマイナーで見つけられませんでした。 (住んでた町の本屋に置いてなかったのです) 東京の大きな本屋(アニメイトのある新宿の紀伊国屋とかさー)に行った時に 問い合わせてみればよかったんでしょうけど 知ってるのは「月刊アニメーション」って言葉だけで 出版社も号数も分からなかったのでそれもせず (バックナンバーを全部買うだけの資力は無かったので) そのまま28年ほど経ってしまいました>オイオイ パイオニア(現・ジェネオンエンターテインメント)のDVD-BOXが出る前後あたりかな。 ま○だらけ中野店に行った時に探してみたら何冊かあったので どれが該当号か分からないけど取りあえず全部買ってみたらこれがビンゴ! (一冊400円くらいだった記憶が・・) ようやくベットシーン云々の下りを確認出来たのでした。 もちろん「誰と誰」なんて露骨なことは書いてなく 「まだ未定ですけど、ベットシーンもあるかも知れません(以下略)」 とあるだけですがそれでも、それでも十分なインパクトでした。 考えてみてください。 これが出たのは80年7月。 今のように性表現が緩やかではなく映画館で上映される映画でもアンダーヘアーが写るシーンはそこだけ白くぼかしが入ってた時代です。 玩具会社がスポンサーのTVアニメで(実現は不可能としても) そんなこと考えちゃう監督もすごいけど聞き出した方もすごい。 そのままそっくり(かどうかは分からないけどカットせずに) 載せちゃう月刊アニメーションもすごい、すごすぎる。 インタビューって対人間だからどこまで本音を引き出せるかは 取材する側の力量にかかってくる部分も多いと思うのです。 他紙には無い、踏み込んだ内容で好感を持ちました。 2つめは人選の面白さです。 チーフディレクターの肩書きで広川和之さんと 美術監督の新井寅雄さん、録音監督の小松亘弘さんのインタビューが載ってるのですが 録音監督のインタビューってあんまり無い気がするのですがいかがでしょう?? もしかしたらたまたまその時、葦プロに居たのがその3人だった!? のかもしれないけどあんまり無い気がするんですよね。 美術監督の新井さんにしたって 放送が終わって「あの番組は美術が良かった」って声を受けて、ならともかく 新番組紹介コーナーですからやっぱり珍しいんじゃないかな? (ちなみに同じ号のイデオン(新番組)の記事のインタビューは湖川さん、富野さん、長谷川さん(プロデューサー)です。) アニメって複数人数の共同作業ですから 一つの作品をめぐって違う立場でのコメントはすごく面白いんですよね、視点が違うと言うか。 バルディオスだと豪華本で色んな立場の方のインタビューがあるじゃないですか。 そういう面白さがあります。 この記事でガットラー役に青野武さんが起用された経緯も知りましたので そういう意味でも面白かったです。 あとはね・・ これを言っちゃーお仕舞いなんだけど そもそもバルディオスを取り上げてくれたこと自体が嬉しかったりするのです。 TV版の放送前~放送中に特集としてバルディオスの記事が出たのが 全アニメ誌の中で3つだけ。 (月刊アニメーションとアニメージュ1980年7月号と号数は不明だけどジ・アニメ) 記憶で書いちゃいますけど同じ時期に放送していたイデオンなんかはもっと頻繁に出てたはずです。 昔入っていたバルディオスFCのスタッフの方はすごく行動的な方で 葦プロやアニメ雑誌の編集部、アフレコ現場にも遊びに行ってたそうです。 そこで個人的に見聞きしたことを会報に載せていたのですが 80年のこの時期でも全ての番組を公平に載せるとか そういうことは無くて ぶっちゃけ商品になりそうな、お付き合いのあるプロダクションの、 記事にしやすい番組や作品から取り上げる傾向だった・・・そうなのです。 ウィキペディアにはアニメ雑誌にジャーナリズムなし なんて書かれてるし、私が聞いたこともあながち的外れでじゃないんじゃないかなぁ。 バルディオスの後、ゴーショーグン、ミンキーモモと立て続けにスマッシュヒットを飛ばした葦プロも80年当時はタツノコから独立してまだ5年。 これと言った代表作もありませんでした。 スタッフ、キャスト供に若手が多く 当時のアニメファンに名前の売れた人が参加してるわけでもないバルディオスは アニメ雑誌に華々しく取り上げられる要素は無かったのです(涙) メディアミックスの走りの時期って言うのかな。 81年発行の同人誌に加藤博プロデューサーのインタビューが載ってるのですが 「今マスコミが一番力持ってるから・・・(中略) ガンダムなんかでもね、両面作戦で実に上手い作戦だと思う。 こういう形が増えると思うね(後略)」 と発言されており、推測ですがそこら辺しっかりしているプロダクションもあったのだと思います。 この月刊アニメーションと言う雑誌は アニメージュなどの主要アニメ誌とは一線を隔した硬派な雑誌だったようで それが原因・・かどうかは分からないけど発行後1年も持たずに休刊になってしまったそうです。 やっぱり雑誌もTVアニメも売れなきゃしょうがないんですよね。 仕事ですから利益上げなきゃダメだし、そのためには制約もあるのでしょう。 ただそれでも・・・ 色んな規制をかいくぐって個々のカラーや主張を乗せてる方々もいるわけで そう言うのがなんかちょっと嬉しいんです。 ただ持ち上げるだけで無く作り手の顔が想像出来る記事、匂いのある記事があると 「おっ(やるじゃん♪)」って思います。 このコーナーでは(私の独断ですが)そういった出版物を取り上げていきたいと思っています。 |
2009年12月